小説 STAND BY ME ドラえもん2を読んで ~帰ってきたSBM、さようならのび太~

小説 STAND BY ME ドラえもん2(以下長いのでSBM2)が我が家にやってきた。




ここ1ヶ月、SBM2で頭の中はいっぱいだった。
いや、もっと言えば発表時からずっとそうだったかもしれない。
SBM1は3D表現は良かったし、シナリオは原本名作保障とそれなりの安心感はあった。
しかし、SBM1は頭の中で「成し遂げプログラム」と「ドラ泣き」がグルグル頭の中で回り心ゆらしまくり状態だったのがあまりにも残念で自分の中で封印していた節があった。
成し遂げプログラム自体は山崎貴監督のドラえもんが子守ロボットとしてセワシからのび太に行くのかという疑問解決のために用意したもの(ということに今した)と考えるとスッキリするので気にしちゃいけないのかもしれない。スッキリしないかガハハ。



そんなSBMに対してさよならにさよならをした状態でSBM2が出てきた。本来なら製作者全員に全体360°に煮えくり返ったホットミルクぶちまけたい感情もなくはないのだが、不思議と心は期待状態になっていた。ナニコレ、私が不思議。
期待の半分は、新恐竜にひどい目にあわされたので安心できる作品がなんか欲しかったのがある。(新恐竜は普通に見る分には面白いので、文句言ってるのは厄介な自分みたいなドラえもんファンだけです。きゃあ、じぶんごろし。)
そして期待のもう半分くらいは(もう感動系の話なくない?もしかして文庫版の収録話を真に受けて「ネコが会社を作ったよ」の映画化か?)といった期待だった。あらかた代表感動系は出た感じがあるからだ。
しかし私はあの時忘れていた。代表2名を。



殴りかかってきたのは「おばあちゃんの思い出」だった。あの出れば基本感動作と言われているおばあちゃん(そんなわけないだろ、人生やり直し機とか感動作じゃなかったろ)をキャスティングしたのだ。今やガンダムのことを話すイメージがついている(あれ嫌い)おばあちゃんで感動作になるか若干の不安があったが鬼滅の予告で感動する人もいたそうですよ本当か?
そして実はもう1作あった。これは予告でもちらっと映っていたが「ぼくの生まれた日」だ。
いやもうほとんど渡辺藤本タッグの短編じゃねーか!と言いたくなる2本だが、まあSBMは若干その路線なので問題なし。



今年は映画の前情報が本当に少なかった。まぁ例のコロナで遅れたのもあったが、ちゃんと映像で最初に見たのはUSJの予告でしたからね。「過去に未来に大冒険!!恐竜も出ます!!」みたいな予告見たときは終わったと思ったけど、あれはUSJだけの演出です。てかSBM2のには乗ってはいないんだけど前にあったBTTFのやつと流れ一緒では???




小説版の裏表紙見る限り、おばあちゃんはどんな冒険も絶えれそう。
絶えれそうというより、感情がなさそう。



そして予告編も鬼滅のヒットもあった11月の初旬。私は小説版SBM2を読み始めた。今思うと、結婚応援団とかの映像の前に読めてよかった。先に映像みてたら心が壊れるところだった。僕の心をつくってくれてありがとう小説版。



読んだ。読んだんですよ。おそらく皆さん予告だけ見た人は「なんかのび太結婚式から逃げておばあちゃんでのび太の記憶が消えそうになるんでしょ?」と思ってるかもしれない。
まぁ大体そうなんですけどね。
まず、今作はSBM1の続きから始まります。2だから当たり前だろと思うかもしれませんが、マジで1の結婚前夜の続きから始まります。あれですね、ヨッシーnewアイランドみたいですね。伝わるとは思ってない。
そしてその後ちょっと未来の話が続くんですが(まさかの出木杉が結婚式に行かないという事実が発覚したりするけど、それ以外は大した話はないです)その後はしばらく現代パートになりました。
その後のエピは予想通りといえば予想通り
おばあちゃんの思い出の終盤あたりまで→お嫁さんみたいねぇ発言→のび太の結婚式見せよう、逃げとる
ではあった。
ただ、まずのび太の結婚式自体本編で描かれたことがあんまりない(映画版結婚前夜のEDとか、宇宙完全大百科とかぐらい)ので、こっからはオリジナルだ。



まぁオリジナル箇所はさておき、(さておかないとみんな映画見ないでしょ)
実はおばあちゃんの思い出と僕の生まれた日以外にもう1エピソード感動系(?)のエピソードがある。
それは「45年後…」である。
上記エピソードは本家では45年後ののび太が小学生時代ののび太と入れ替わってもう一度少年期を体験し、小学生ののび太にアドバイスをするという感動とまでは言わなくても、良エピソードだ。一部ではのび太感が45年後に無くて怖いという話もあるが……
ちなみに45年後…は大山ドラの最終回で流れたエピソードになる。(「ドラえもんに休日を!」?知らんな)
話しそれた。今回は45年後を結婚前ののび太と置き換えてのエピソードとして映像化している。懐かしむ歳か?とも思うが、話の流れで一応こうなったから個人的には良いと思ってる。
しかし、なんと未来デパートがまた不良品を送り付けてとんでもないことになるのでお楽しみに。(書いた後に思ったけど、別にそんなイメージは未来デパートにねぇよ)




最後まで読んだ感想としては、今作はほぼほぼ山崎貴監督オリジナルのドラえもんで、それこそさっき名前を出したけどBTTFに近い話の流れをしてるなと思った。過去に未来にいっておばあちゃん、そして青年のび太を結果的に幸せにするストーリー。成し遂げプログラムなんてなくてよかったんだ……と安心できた。





さて、最後に今作で登場した秘密道具でどうしても言いたいのが3つあるので書かせてください。
一つ目はたずね人ステッキだ。
たずね人ステッキは探している人や物の方角が分かる便利アイテムなのだが、能力はさほどどうでも良い。私が言いたいのはちょっとこすりすぎじゃないかという話だ。
たすね人ステッキは鉄人兵団で初めて登場し、その後大山ドラでは映画で5作も登場した凄い道具だ。この時点でもめっちゃこすられてるのだが、実は新ドラでは南極カチコチ大冒険、新恐竜と近年出まくりな状態だ。てか新恐竜でも出て、SBM2でも出てって今年はたずね人ステッキイヤーか?てか南極カチコチ大冒険でステッキに自我があったのなんなの???



2つ目はタマシイムマシンだ
タマシイムマシンは魂だ過去に送るというなんかよくわからないひみつ道具なんですけど、
今回は凄い使い方をしきて、個人的には好感度が高いです。こすられてないしね。ひみつ道具のこすってるってなんだよ。



そしてもう一つは













こっからオチについて話すので、見たくない人は帰る場所に帰ってください。またあえる日まで。





















もう一つのひみつ道具は「ワスレンボー」だ
ワスレンボーは棒状のひみつ道具で、叩かれると一定時間の記憶が消えるという
忘れろ草の暴力版みたいなやつです。(余談だがワスレバットもある)
今作はなんとほぼほぼ事故なんですが、このワスレンボーでSBM2の内容がほとんどのび太から消え去ります。つまり、今回の出来事はのび太に一ミリも影響を与えてないことになりました。予告で言った記憶のやつじゃん!!って思ったかもしれませんが、なんとそのシーンは別のシーンです。どんだけ記憶なくなりかけるんだ。



山崎貴監督はのび太が成長しないのは何故なんだろうと疑問を思ったそうです。その解決策として今回のび太の記憶が消えるオチになったのでしょう。確かに、のび太の記憶が維持しているとなると青年のび太が結婚式から逃げるわけないし、SBM2単体として考えると辻褄があいます。(青年のび太が小学生の時のを覚えているのか?という失礼な発想もできるかもしれませんが、あいにく結婚後ののび太が小学生の時に未来に行ったことを覚えてたりしてるから無理)



ただ、ドラえもん全体で見るといびつです。アニメだとそうかもしれないんですが、原作だとのび太は成長しています。大全集版だとわかりやすいのですが、小学一年生に掲載されたのび太と小学6年生に掲載されたのび太は全く違い、もちろん6年生の方が成長しています。なので今回のオチはのび太の成長が4年生あたりで止まったアニメ版の影響によってできたといっても過言ではないです。しかし、個人的には事故とはいえ成長させない手段は映画のオチとして許せない気持ちもあるし、SBM2が本編に影響を与えない配慮だと思うと安心もしてしまうんですね。



一緒にあるき、手をつないで、かけがえのない詩を続けてきたのび太と、新恐竜で一回別れ
そしてSBM2でもう一度別れた気がした。もうあの頃ののび太はいない。今年はたずね人ステッキイヤーじゃなくてのび太との別れの年でした。
うれしくない。これからまた、ずうっとのび太といっしょにくらさない。





余談
予告の時にも思ったんですけど、「生きてる。歩いてる!」って本来ならギャグシーンに近いと思ってるんですけど、もしかして感動セリフなんですかね?のび太の泣き方の問題?


追記(2020/11/20 まだ見れてない)
上記読んでもしかしたら勘違いを産んでしまってたかもしれないんですけど、個人的な好き度だと以下な感じです。

SBM2>>>>SBM1>>>>新恐竜>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>大山ドラ末期版ドラえもんに休日を





完(SBM3には続かない)