2021年レビュー書き殴り① 新すばらしきこのせかい

渋谷は、変わった。

私が今より若かったころ、あそこは若者の街……オシャレが蔓延る人ごった返すといった印象だった。まだろくにいったことがなかったが。

今の渋谷は、若者だけでなく様々な年齢,性別,国籍……様々な人を受け入れる街になったような気がしますね。

ただ、いくら街が変わっても体験しなくては印象は変わらないとは思いますが。

 

 

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今回レビューするのは「新すばらしきこのせかい」。新すばらしきこのせかいスクウェア・エニックスから2021年7月21日にPlaystation4/NintendoSwitchで発売されたアクションRPG。価格は7480円。

 

『新』とついていることから分かる通り、この作品には前作がある。「すばらしきこのせかい」というNintendoDSで発売されたソフトでその後スマートフォン、Switchへと移植もされた『名作』だ。いや、正確にいうと『ほんのちょこっとだけ隠れていたかもしれない名作』という回りくどい言い方をすべきだろうか。皆が皆知っていたり、やっているわけではない。それくらいの位置の名作だ。

 

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▲前作「すばらしきこのせかい」(画像はSwitch版)

 

正直、「新すばらしきこのせかい」が出ると聞いたときは滅茶苦茶驚いた。

だって移植されてるとは言え、DS版は2007年……あまりにも時間が空きすぎていたから、まさか来るとは……という驚きがくるのは当たり前といえば当たり前だった。

 

そろそろ、『新』の話をしないと思い出話で埋まってしまうので『新』の話をしよう。

 

 

 

今の渋谷、過去の渋谷

「新すばらしきこのせかい」は先ほど言った通り、アクションRPG。渋谷を舞台に「死神のゲーム」という謎のゲームに巻き込まれる……という、前作と同じ設定の世界観でゲームを生き抜く少年少女の物語だ。

 

前作から大きく変わったのは、やはり「3D」だろうか。前作はDSで特徴的な2Dで渋谷を描いていたが、今作は渋谷が3Dで描かれる。しかし、決してリアルに描いているわけではなく2D時代の印象を滅茶苦茶再現している。また、今作は実店舗も一部実名で登場するので、より「渋谷感」を味わえるだろう。

 

 

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▲極端にオシャレな角度。現実的ではないが、渋谷的……とも言える。

 

 

そして3Dになったのは渋谷だけではなく、戦闘も3Dになった。

DS時代では戦闘は2画面別々でキャラが異なり、下画面はタッチ,

上画面は十字キーで戦闘を行うと複雑な戦闘システムが異なり、

フィールドは斜め上から見下ろすという、疑似3Dフィールドのようなものだった。

「新すばらしきこのせかい」は本当に3Dで仲間キャラ全員一画面で縦横無尽に戦闘をする。しかも前作では疑似3Dの為どこで戦ってもあまりフィールドに変化はなかったが、今作は移動時にしようしていた3Dマップがそのままなので、より「渋谷で戦闘をしている」という感じがする。

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▲上が前作、下が今作の戦闘フィールド。3Dになってよりその土地で戦っている感がある


 

「現代の渋谷」を感じれるのは映像だけではなく、ストーリー面からも感じられる。それを一番感じることが出来るのは、仲間キャラクターの一人「ナギ」だろう。

 

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▲ナギ

 

「ナギ」は所謂女性オタクキャラ。乙女ゲームにはまっており、喋り方も少しインターネット味を感じる、正に「テンプレオタク」に近いキャラだ。

前作では、こういったキャラは登場しなかった。前作の渋谷にあったのはファッション、音楽、グルメだった。

何故、今作でこういったキャラが登場したのかは……わざわざ考えるまでもない。「今の渋谷」はそうだからだ。今の渋谷はアニメグッズも買えるし、アニメのコラボカフェも定期的に開催される。ゲームグッズももちろんだ。この方向性は「今の渋谷」が舞台だからであろう。

 

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▲「コラボメニュー」と言った単語も普通に登場する。

 

それ以外にもいろいろな箇所に「現代」を感じる箇所がある。位置情報ゲームが流行り、今まであった店がつぶれ、人はコミュニケーションにより苦労している。より複雑になった、なってしまった「現代」のアクションRPGを楽しむことができる。

 

 

なぜ人は過ぎ去りし時を求めてしまうのか

はっきりと言うと、このゲームは面白い。

アクションRPGとして出来は良いし、前作より繋がりを感じる渋谷を行き来するのは楽しい。

しかし、このゲームは「面白いか、面白くないか」以外にプレイヤーが重要視する箇所がある。

それは「『すばせか』らしいか、そうじゃないか」である。

 

今作がすばせからしいか、そうじゃないかは人によってもっとも評価が割れるものがあるだろう。すばせからしさはあの複雑な戦闘システム?でも今作は違う。先ほど書いた「死神のゲーム」も前作から大幅にルールが違う。

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▲今作は前作よりチーム戦としての競技となっている。

 

 

また、前作のすばせかでは「ファッショントレンド」という重要なシステム(所謂装備品にブランドがあって、ブランドがトレンドの区間だと性能が強化される)があり、ストーリーでも重要な要素だったんだけど今作はあまり推されていない。

 

結局のところ、ストーリー上は次回作ではあるがシステム上は全く別物の作品感が強く、続編感があまりない。というところがあるといえなくもないのだ。

 

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▲因みに前作から登場したスキャンやバッジシステムは健在。スキャンはより出来ることが増えており、やり込み要素にもつながっている。

 

個人的な意見を最後に言うと、今作はやはり「名作」だと思う。

ただ、「前作をやらないと理解できない点」と「前作をやると感じる違和感の点」があるけれども……

 

今作は「すばらしきこのせかい2」ではなく「新・すばらしきこのせかい」。

新しくなった渋谷を、受け入れれば……本当にすばらしいゲームですから。